のれんと会計学

うどん屋そば屋、老舗旅館に居酒屋。日本各地の商店に掲げられる個性的な、のれん。こののれん、もともとは、屋号や商号や家紋などが染め抜かれたもののことを指していました。
また、商家の信用を現すシンボルともなり、転じて、屋号のこと「暖簾(のれん)名」と呼ぶようになりました。
そのため、のれんは会計学や、法学上用語にもしばしば登場します。「のれん代」とは、企業が持つ営業権のことを指します。主にブランド力やノウハウ、仕入先との関係、従業員の能力、営業の名声など、長い企業活動の上に作られた、無形固定資産のことです。

また、「のれん償却」はその営業権の償却のことをいい、たとえば純利益が1億円の企業を2億円で買収した場合、プラスされた1億円がのれん代になります。(不足する場合を負ののれんといいます)こののれん代、20年以内のその効果の及ぶ期間に定額、またはその他の方法で償却する必要があります。これは、時間とともに、のれん代の持つ収益性が失われたと判断されるためです。
各期間の償却額は販売費もしくは一般管理費として計上されています。
ところが日本では償却しますが、のれん代の価値が減少しないと考える国では、償却処理されません。アメリカ・ヨーロッパ会計基準では、のれん代は価値が下がらず、下がれば減損処理をすればよいと考えられています。
今後、こののれん償却議論の対象となっていくことでしょう。
もともとはのれんは道具として商店の風や寒さをしのぐものでした。
その、のれんというシンボルが現代の会計学に生かされているという、日本人の粋な心が暫し伝わってくるようです。